砂村合柄(すなむらあいがら)一本太葱

野口種苗

【特徴】天正年間(1573–92)江戸湾埋立地の砂村に、摂津からの入植者が関西の葉ネギの栽培を始め、寒さと土質で根深ネギに変化したという。定植後2、3回土寄せして根を深く白く長く育てる江戸東京伝統野菜の根深一本ネギ。分けつ少なく、味よく曲がらず真直ぐ育つ。寒さに強く冬でも生育するが春抽苔しやすいため、東京では秋まきせず、ハウス内で早春まきする栽培者が多い。薬味、煮食、葱焼など。冬の葱料理なんにでも向く。合柄とは、赤柄(ネギの葉色が淡緑色の系統)と黒柄(濃緑色の系統)の中間的色合いの系統という意味で、最も広く栽培されている。

【播種】通常秋9月彼岸(秋から収穫)、または春3月彼岸(冬期収穫)。発芽適温:15~20度、最低温度1〜4度、上限33度。平床にバラ蒔きして育苗する。覆土:1cm程度。薄くし、乾燥防止にモミガラ、ワラなどを敷くとよい。

【栽培】生育適温:20度前後。冬期休眠せず越冬力が弱いので、消えやすい時はトンネル育苗するか春播きする。春、葱坊主が出やすいので、定植時には、坊主をちぎって植付ける。ほとんど分けつしないので、定植間隔は5cm程度。ネギは肥料焼けしやすいので、定植時には施肥せず、7月下旬の土用明けから月に1度土寄せのつど施肥する。

【収穫】秋から冬。

【採種】自家受粉性もあるが、虫媒花なので、半径数百m以内に他品種があると交雑しやすい。葱坊主が黒く結実したら刈り取り、陽当たりの良い所で追熟、乾燥し種を外す。

【種子の特徴】休眠:充実し充分乾燥した種なら休眠期は無い。種子寿命:常温保存だと1年程度の短命種子(冷蔵庫なら数年もつ)。保存法:乾燥剤を入れた密封容器で低温低湿度の場所に保存。